
もうすぐ9月。
厚生労働省が定める「健康増進普及月間」が始まります。
健康診断の結果が返ってきて、
血糖値やコレステロールの数値が気になっている方も
多いのではないでしょうか。
そのとき、
お口の中まで一緒に見直す方は、
まだ多くありません。
でも実は、歯周病は
「歯が抜ける病気」というだけでは終わらないことが
わかってきています。
この記事では、歯周病と全身の病気のつながりを、
歯科医師の視点でわかりやすく解説します。
なぜ「お口の病気」が全身に関わるの?3つの理由

歯周病は、歯を支えている歯ぐきや骨に
炎症が起き続けている状態です。
この「炎症が続いている」という点が、
全身との関わりを生みます。
1. 歯周ポケットは、体の内側にできた「傷口」
歯と歯ぐきのすき間(歯周ポケット)に炎症が起きると、
その内側の壁は、ただれた傷のような状態になります。
面積としては小さく見えても、
奥歯までまとめると決して小さくありません。
その傷口が、毎日ずっと開いたままになっているとイメージしてください。
2. 細菌や炎症の物質が、血管に入り込む
歯ぐきの内側には、細い血管がたくさん通っています。
炎症が続くと、歯周病の原因菌や、
炎症によってつくられる物質が、
血流に乗って全身へ運ばれていきます。
つまり、お口の中だけの問題では
なくなってしまうということです。
3. 自覚症状が出にくく、何年も続いてしまう
歯周病は、初期にはほとんど痛みが出ません。
「サイレントディジーズ(静かな病気)」と
呼ばれるのはこのためです。
痛くないまま何年も炎症が続くこと。
これが、全身への影響を考えるうえで
いちばん厄介なところなのです。
歯周病と関わりが指摘されている、全身の病気

日本歯周病学会は、歯周病と全身の健康について
研究結果を整理した資料をまとめています。
そこで取り上げられている代表的なものが、次のような病気です。
糖尿病 —— お互いに悪くし合う関係
なかでも関係が深いとされているのが、糖尿病です。
糖尿病があると歯周病が進みやすくなり、
逆に、重い歯周病があると
血糖のコントロールに悪い影響を与える。
このようにお互いが影響し合う「双方向の関係」があると
考えられています。
さらに、重い歯周病をともなう2型糖尿病の方が
歯周病の治療を受けたところ、
血糖の状態を示す数値(ヘモグロビンA1c)が改善したという報告もあります。
すべての方に同じ結果が出るわけではありませんが、
「お口のケアが、糖尿病の治療を後押しすることがある」
というのは、とても大きな話です。
血管の病気(動脈硬化・心臓や脳の疾患)
炎症が血管に与える影響という観点から、
動脈硬化や心臓・脳の血管の病気との関連が
研究されています。
誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)
飲み込む力が弱くなると、
唾液や食べ物が誤って気管に入ってしまうことがあります。
このとき、お口の中の細菌が一緒に入り込むことが、
高齢の方の肺炎につながると考えられています。
妊娠中の方への影響
早産や低体重児出産との関連についても、
研究が進められています。
妊娠中は歯ぐきが腫れやすい時期でもあるため、
体調のよい時期の歯科検診をおすすめしています。
このほかにも、関節リウマチや腎臓の病気などとの関連が
調べられています。
「歯ぐきの腫れくらい」と思われがちですが、
体全体の健康とつながっているのです。
こんなときは歯医者へ|受診の目安

次のような場合は、一度歯科医院で
歯ぐきの状態を確認することをおすすめします。
・歯みがきのときに血が出る
・歯ぐきが赤く腫れている、ぶよぶよする
・朝起きたとき、口の中がネバつく
・歯ぐきが下がって、歯が長く見えるようになった
・歯がグラつく感じがある
・健康診断で血糖値やヘモグロビンA1cを指摘された
・糖尿病の治療を受けている
・タバコを吸っている
とくに、糖尿病の治療を受けている方は、
歯ぐきの状態を定期的に見ておく意味が大きいです。
内科の先生と歯科の両方から支えることで、
体もお口も守りやすくなります。
歯周病で一度溶けてしまった骨は、
自然には元に戻りません。
ただし、進行を止めることはできます。
早いほど、できることが多く残ります。
今日からできる!歯ぐきを守る3つの習慣

特別なことをする必要はありません。
毎日の積み重ねが、いちばん効きます。
1. 歯と歯ぐきの「境目」を意識して磨く
歯周病の原因となる汚れは、
歯の表面ではなく、歯と歯ぐきの境目にたまります。
歯ブラシの毛先を境目に軽く当てて、
小刻みに動かしてみてください。
力を入れてゴシゴシ磨くのは逆効果です。
歯ぐきが下がる原因になってしまいます。
2. フロスや歯間ブラシを足す
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは落としきれません。
「毎日は難しい」という方は、
まず夜だけでも大丈夫です。
続けられる形にすることのほうが、大切ですね。
3. 禁煙と、生活習慣の見直し
タバコは歯ぐきの血流を悪くし、
歯周病を進行させる大きな要因になります。
また、炎症を抱えにくい体をつくるという意味では、
食事・睡眠・運動といった生活習慣も
歯ぐきの健康につながっています。
健康増進普及月間の9月は、
見直しを始めるのにちょうどよいタイミングですね。
まとめ:健康診断と一緒に、お口の健診も

歯周病は、痛みが出ないまま静かに進みます。
そして、その炎症は
お口の中だけにとどまらないことがわかってきました。
体の健康診断は毎年受けているのに、
お口の中は何年も診てもらっていない。
そんな方は、意外と多いのです。
歯ぐきの状態は、
検査をすればその場で確認することができます。
はしもと歯科クリニックでは、
歯周病の検査と、歯石を取るクリーニングを行っています。
内科で数値を指摘された方や、
糖尿病の治療を受けている方のご相談も承っています。
健康を見直す秋のはじまりに、
お口の中も一緒にチェックしてみませんか。
お気軽にご相談くださいね。




